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この記事でわかること
- 「続く人・辞める人」の違いは性格や能力ではなく環境選びにあるという結論
- データで見る離職率の現実(12.4%と事業所間格差)
- 辞める人に共通する3つの行動パターン
- 続く人が実践している3つの判断軸
- 自分が今どちら側にいるか確かめるチェックリスト
- 辞める/続けるを判断するための具体的ステップ
周りは続いているのに自分だけしんどい、と感じているあなたへ
「周りの人は続いているのに、自分だけがしんどい」 「もしかして介護に向いていないのかも」 「辞めるべきか続けるべきか分からない」
こう感じている介護職の方は、想像以上に多いです。管理職として施設を運営していた頃、相談に来るスタッフの9割は、この3つのどれかを口にしていました。
でも、現場と運営の両方を見てきて、ひとつハッキリ言えることがあります。
続く人と辞める人の違いは、性格や能力ではありません。「環境選び」と「判断のタイミング」です。
真面目で優しい人ほど辞めやすく、要領のいい人ほど残る——これは何度も目にした現実でした。これは能力の差ではなく、環境との相性と自分の守り方の違いです。
データで見る「続く人・辞める人」の現実
先に数字で全体像を掴みます。
離職率は過去最低の12.4%、でも「事業所間格差」が本題
介護労働安定センター「令和6年度介護労働実態調査」によれば、介護職員の離職率は12.4%で過去最低。医療・福祉全体の14.6%、全産業平均15.4%を下回る水準です。
| 区分 | 離職率 |
|---|---|
| 介護職員(令和6年度) | 12.4% |
| 医療・福祉 | 14.6% |
| 全産業平均 | 15.4% |
「介護は離職率が高い」というイメージは、もはや古い情報です。
本当の問題は「事業所間格差」
平均値より、事業所間のバラツキの方が深刻です。
- 離職率10%未満の事業所:全体の53.6%
- 離職率20%以上の事業所:全体の24.1%
つまり同じ介護業界でも、施設によって2倍以上の差があります。平均が良くなっても、運悪く離職率20%超の事業所に入れば、周りがどんどん辞めていく環境で働くことになる。
「続く人になるか辞める人になるか」は、あなたの性格より、どの事業所にいるかで大きく決まる——これがデータが示す現実です。
離職率が下がった事業所の理由トップは「人間関係」
さらに興味深いデータがあります。離職率が下がった事業所が挙げた理由の第1位は「職場の人間関係がよくなったため」で63.6%。給与でも労働時間でもなく、人間関係。
逆に言えば、人間関係が変わらない職場では、何年いても状況は変わりません。続く人たちは、ここを本能的に理解して動いています。
辞める人に共通する3つの行動パターン
管理職として多くの退職相談を受けてきた中で、辞めていく人には共通パターンがありました。
パターン1|我慢しすぎる
- 迷惑をかけたくない
- 自分が我慢すれば回る
- 限界まで抱え込む
一見まじめで素晴らしい姿勢ですが、結果的に自分を壊す原因になります。
責任感が強い人ほど、自分の限界に気づきにくい。周りを優先する人ほど、気づいたときには取り返しがつかない状態になっています。「頑張る」と「我慢する」は別物です。
パターン2|職場を変えずに自分を変えようとする
- もっと頑張ればいい
- 考え方を変えればいい
- 慣れれば何とかなる
この考え方で続ける人は多いですが、現実はそこまで単純ではありません。
人手不足や運営の構造問題がある職場では、個人の努力でどうにかなる範囲を超えています。離職率が下がる要因の1位が「人間関係の改善」であることからも分かる通り、環境が動かない限り、負担は変わらないのです。
パターン3|判断を先延ばしにする
辞める人ほど、決断を後回しにします。
- もう少し様子を見る
- 今はタイミングが悪い
- そのうち良くなるかもしれない
この積み重ねが、気づいたときには心身の限界、という状態を作ります。
読者の声:「でも、すぐに動くのは逃げじゃないですか?」
筆者より:「続ける」と「我慢する」は違います。今いる場所を変えずに同じ負担を受け続けることは、続けているのではなく、削られているだけです。管理職として見てきた中で、早めに動いた人の方が、結果的に介護業界に長く残っています。
続く人に共通する3つの判断軸
一方、長く続いている人たちには、別の共通点がありました。
共通点1|無理な環境にこだわらない
続く人は、合わないと感じた時点で動きます。異動や転職も含めて、自分の負担を下げる選択をしています。
「5年同じ施設で働いていました」という人より、「5年の中で2回異動/転職して、自分に合う場所を見つけました」という人の方が、この業界では現実的に長く続いている印象です。
「続ける=同じ職場にいる」ではありません。「合う場所で介護を続けている」状態を指します。
共通点2|仕事の種類を理解して選んでいる
介護の仕事は一つではありません。働き方が変わるだけで、しんどさは大きく変わります。
| 施設種別 | 夜勤 | 人間関係 | 身体的負荷 |
|---|---|---|---|
| 特別養護老人ホーム | 月4〜6回 | 中規模チーム | 高め |
| 介護老人保健施設 | 月4〜5回 | 多職種連携あり | 高め |
| デイサービス | なし | 日勤のみで把握しやすい | 中程度 |
| 有料老人ホーム | 月2〜4回 | 施設差大 | 中程度 |
| グループホーム | 月4〜6回 | 密接・濃厚 | 比較的低め |
| 訪問介護 | 基本なし | 基本1人対応 | 中程度 |
続く人は、「自分が続けやすい働き方はどれか」を理解した上で、その中から選んでいます。「介護が合わない」のではなく、「今の働き方が合っていない」だけというケースが大半です。
共通点3|比較して判断している
続く人は、今の職場だけを基準に考えません。
- 他の施設の条件を見る
- 働き方の違いを知る
- 常に選択肢を持っておく
比較できる状態があるから、「このまま続ける価値があるか」を冷静に判断できるのです。選択肢がないと、「我慢するしかない」という結論にしか辿り着けません。
自分が今どちら側か確かめるチェックリスト
以下の項目にいくつ当てはまるか、正直にチェックしてみてください。
「辞める側」に傾いているサイン
- 「自分が我慢すれば」と考えがち
- 最近、職場以外の情報(他の施設・他の働き方)を見ていない
- 体調が悪くても休まず出勤している
- 「もう少し様子を見る」と半年以上言っている
- 「辞めたい」を口に出さずに飲み込んでいる
- 職場以外の時間も仕事のことで頭がいっぱい
- 同僚が辞めていくのを見て「自分も限界かも」と思う
3つ以上当てはまれば、判断を先延ばしにしているサインです。
「続く側」の行動パターン
- しんどいときに誰かに相談できる(職場内外問わず)
- 定期的に他の施設・求人の条件を見ている
- 自分の夜勤回数・残業時間を把握している
- 「この職場で5年後も働きたいか」を考えたことがある
- 合わないと感じたら異動・転職の選択肢を持つ
- 完璧を求めすぎず「今日はここまで」と切り上げられる
- 休みの日は仕事から頭を離せている
5つ以上あれば、続けるための基盤ができています。
辞める・続けるを判断する具体的ステップ
抽象論で終わらせないために、今日からできる判断ステップを置きます。
ステップ1|3つの軸で現状を書き出す
紙に3列の表を作って、今の職場について書き出してみてください。
| 続けたい理由 | つらいと感じている理由 | 改善できる見込み |
|---|---|---|
| (例)通勤が近い | (例)夜勤が月7回 | シフト相談済だが改善なし |
| (例)利用者との関係 | (例)人間関係 | 管理職が変わらない限り無理 |
「改善できる見込み」の欄に『なし』が並んだら、それは構造問題です。
ステップ2|人間関係が改善する可能性を見極める
離職率が下がった事業所の1位理由「人間関係の改善63.6%」が示す通り、人間関係は続く・辞めるを大きく分けます。
- 管理職が変わる予定はあるか
- 問題のある同僚・上司は異動する可能性があるか
- 自分が異動できるユニット・部署はあるか
これらにすべて「ノー」なら、人間関係は今後も変わりません。
ステップ3|選択肢を「持つだけ」でいい
「すぐ辞めよう」ではなく、選択肢を用意するだけでもいいです。
- 他の施設の求人を3件見てみる
- 転職サイトに登録だけしておく
- 知人経由で別施設の話を聞いてみる
選択肢があると、今の職場を冷静に比較できます。そして比較した上で「今の職場が一番いい」と判断すれば、それは我慢ではなく選択です。
ステップ4|2026年6月以降の動きを見る
2026年6月に介護報酬の臨時改定(+2.03%)が施行され、月最大1.9万円の賃上げが予定されています。ただしこの恩恵は事業所が加算を取得・分配するかどうかで決まります。
- 6月以降、自分の給与が実際に上がったか
- 施設が加算IかIIを取得しているか
6月の給与明細は、今の職場が「続ける価値のある職場か」を見極める判断材料になります。
辞めたいと感じること自体は「正常」です
最後にもう一度、ここだけは伝えたいです。
つらいと感じること、辞めたいと思うこと——これは異常ではなく、環境が合っていないサインです。
- 違和感がある
- 負担が大きい
- このままでいいのか不安
これらの感情は、あなたの心身がちゃんと機能している証拠です。問題は、その感情を無視して我慢し続けることです。
管理職として何人もの退職を見てきて、共通していたのは「早めに動けた人ほど、介護業界に長く残っている」という事実でした。限界まで我慢した人ほど、介護そのものを嫌いになって業界を去っていきます。
まとめ|続く人になるために必要な3つのこと
長くなったので、要点だけ。
続く人と辞める人の違いは、この3つで決まります。
- 環境との相性(人間関係・人員配置・施設種別)
- 判断のタイミング(早めに動けるか、先延ばしにするか)
- 選択肢の有無(比較できる情報を持っているか)
性格ではなく、行動の習慣です。
続かないのは、あなたが弱いからではありません。今の環境が合っていないだけかもしれません。
無理して続けるかではなく、どうすれば続けられるかで考えてください。介護を辞めるのではなく、合わない職場を離れるだけで、また続けられるようになります。
「介護の仕事が嫌い」なのか、「今の職場が合っていない」のか——この2つを分けて考えることから、すべては始まります。
「続く側」に回るなら、職場選びを軽視しない
続く人と辞める人を分ける一番大きな要素は「最初の職場選び」です。性格や根性ではなく、自分に合う環境を選べているかどうか。
ヒューマンライフケアのような大手で求人を見比べて、自分が「続けやすい条件」を可視化するところから始めると、3年後の景色が変わります。

